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株式会社ギャプライズ 日イスラエル中堅・中小企業協業事例 【2020/11/8】

日イスラエル中堅・中小企業協業事例
(2020.11.8)


株式会社ギャプライズ株式会社ギャプライズロゴ


● 会社沿革

 株式会社ギャプライズ(以下、ギャプライズ)は、2005年1月に早稲田大学の友人同士で創業され、ネットショップ運用の代行から事業を開始した。ランディングページの最適化、マーケティング設計、Web広告運用、サイト構築と事業を拡大していき、現在の主な事業は販売代理店業務と広告運用代行業務である。代表取締役CEOの甲斐亮之氏は創業から半年後にギャプライズに参画し、執行役員WEBマーケティング責任者を勤めたのち2013年より現職を務める。
 同社は、イスラエルを中心としたグローバルマーケットから発掘したマーケティングテクノロジーの販売・サポートを通じて、さまざまな企業のマーケティング活動を支援する。また、デジタルマーケティング施策の成果最大化を目指し、Webテクノロジー領域におけるマーケティング支援(コンサルティング)やデジタル広告の運用代行業務も展開している。

お話を伺った甲斐亮之 代表取締役CEO
お話を伺った甲斐亮之 代表取締役CEO

● デジタルマーケティング×イスラエルの出会い

 ギャプライズは、ランディングページやWebサイトのコンバージョン率の改善に取り組んでいた2011年頃、顧客からの依頼でイスラエル企業の顧客体験分析プラットフォーム「クリックテール(Clicktale)」の存在を知った。当時ユーザーの行動を可視化するツールを自社で開発中であったものの、その3歩先を行く製品が存在し、すでに実装されていることに驚いたと言う。だがユーザーとしてのワクワク感が何よりも勝り、より優れたものがある以上自社製品の販売に踏み切るのは誤りだという判断に至った。2012年から「クリックテール」の日本における販売・サポートに乗り出し、事業内容をマーケティングテクノロジーの販売代理店業にシフトすることになる。良い技術があるからといって、必ずしも多くの企業に導入してもらえるわけではない。だが、同社では、既存の取引先であった数百社の企業に対してマーケティングテクノロジーの導入を行い、初年度から「クリックテール」の販売実績を作ることに成功した。ギャプライズ以外にも、同サービスを日本で販売代理する企業もあった中、大きな成功を果たしたのは同社だけであった。
 この販売実績からイスラエル企業の信頼を獲得し、「クリックテール」以外の製品の販売にもつながっていった。甲斐氏によると、イスラエル企業は簡単に外部の企業を信用しないが、数字だけは絶対に信用していると感じるという。また、イスラエルではテクノロジー業界での起業や転職が頻繁に行われるため、ネットワークを構築することが非常に重要である。最初の成功事例である「クリックテール」から転職、独立した社員が新たな製品をギャプライズに紹介し、徐々にネットワークが構築されていった。
 現在は、「クリックテール」を買収した「コンテントスクエア(Contentsquare)」のアジア正規代理店として、日本やアジアの企業に導入を推進し、精度の高いマーケティング施策を実現している。また、競合解析ツール「シミラーウェブ(SimilarWeb)」やソーシャルレビューツール「ヨットポ(Yotpo)」、ABテストツール「オプティマイズリー(Optimizely)」、プロジェクト管理ツール「マンデードットコム(Monday.com)」なども取り扱っている。同社は、テルアビブに独自のネットワークを持ち、いち早く最先端技術をキャッチアップする体制を構築しているため、最先端テクノロジーの販売代理業は継続して行っていく予定である。また、今後より大きく難易度の高い仕事を国内外で展開し、最先端テクノロジーでマーケティング支援を行っていくため、上場を視野に入れて事業拡大に臨んでいる。

Point

・デジタルマーケティング支援でイスラエル発スタートアップと独自の関係構築


・自社開発経験に基づく実践的知見でイスラエル技術の評価が可能に


・イスラエル企業と渡り合うスピード感とコミュニケーション力



● イスラエル流コミュニケーション


 イスラエル企業は速度を非常に重要視している。ギャプライズは、イスラエル企業とスピード感を持って付き合えるように、社内に通常業務とは別で新しいサービスを受けられる2~3名の遊撃隊のような体制を構築している。新たなテクノロジーが日本の顧客に受け入れられるかを、既存顧客に対してヒアリングをしたり、試験導入してもらえる体制が整っているため、スピード感を持ってPDCAを回すことができるのだ。速度と実利を求めるイスラエル企業と上手く協業するためには、相手のカルチャーに合わせて業務を行うことが重要な要因のひとつだろう。
 また、イスラエル人は国家的情勢からも当事者意識が非常に強く、衝突から良い意見が生まれると考える。打ち合わせ中に机を叩いたり、喋らない人は部屋から出ていけというような、日本では珍しい激しいコミュニケーションを取ることもある。日本人とイスラエル人はベースとなるハングリー精神が大きく異なる。協業を成功させるためには、対等なコミュニケーションが必要だと甲斐氏は考える。そのためには、感情を表に出し、対立を恐れないイスラエル人相手にも萎縮せず、主体的なコミュニケーションを取っていくことを心がけるべきだろう。

ギャプライズPhoto

会社情報

会社名

株式会社ギャプライズ
(英語表記 Gaprise.inc)

代表取締役 CEO

甲斐 亮之

設立

2005年1月

資本金

2000万円

従業員数

105名

住所

〒160-0023 東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル6階

Website

https://www.gaprise.com

取材: 早稲田大学イノベーション・ファイナンス国際研究所
編集: (一財)国際経済連携推進センター

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