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ヴルカヌス・プログラム 所感 | 日欧産業協力センター【配信日:2016/10/31 No.0260-1025】

配信日:2016年10月31日

ヴルカヌス・プログラム 所感

日欧産業協力センター


 貿易研修センター(IIST)の支部である日欧産業協力センターでは将来の日欧関係を担う若者の育成を目的として、日本人理工系学生を対象にした欧州での語学・企業研修を実施しています。以下、プログラム参加者による体験談をご紹介します。

日欧産業協力センターウェブサイト


金馬 貴之 (きんば たかし)
ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ 2015年度修了生
プログラム期間:2015年4月~2016年3月
語学研修期間:2015年4月~7月 アイルランド・ダブリンの語学学校にて英語、およびポーランド・クラクフの語学学校にてポーランド語研修
インターンシップ期間:2015年8月~2016年3月 toprojekt社(ポーランド)にて企業研修

 私はアイルランド・ポーランドの2カ国で語学研修、toprojektというポーランドの建築設計事務所で企業研修を行いました。広島という小さな町で建築を勉強してきたこともあり、少し大きな世界を見てみたいと思ったことがヴルカヌスプログラムへ参加したきっかけです。

 ポーランドでの研修はヴルカヌスでも初めてで他の研修生に比べて情報がない状況でした。しかしヴルカヌス・イン・ジャパンのOBが受入企業にいたことで問題なく一年間を過ごす事ができました。彼とは仕事だけでなく、一緒に旅行に行って建築見学するなどプライベートでもお世話になりました。そして今も連絡を取り合い、互いのプロジェクトについて意見交換を行うなどしています。こういった事もここまでのプログラムの積み重ねがあり世代を超えた繋がりがあるヴルカヌスならではの良さだと思います。

コンペ勝利時の祝勝会

コンペ勝利時の祝勝会

 企業研修中は10名程度という小さな設計事務所ということもあり、常に担当プロジェクトを持つことができるという恵まれた環境でした。基本的には国際コンペティションを担当し、韓国の釜山市の再開発プロジェクト、香川県屋島の観光施設、ポーランドのKoszalin市のマスタープランのコンペティション等に参加しました。労働文化の違い等で悩む事も最初はありましたが、コンペティションで勝つ事を目標に日々の業務に取り組んだ結果、釜山市のプロジェクトでは入賞、Koszalin市のプロジェクトでは1位になることができました。
プログラム修了式 受入企業の上司と

プログラム修了式 受入企業の上司と

またこれらのコンペティションで結果を出す事ができたことで設計者として大きな自信を得ることができました。Koszalin市のプロジェクトでは、町の旧市街を南北東西に貫く車両道路を町全体の交通体系を再編することにより、歩行者のための空間にすることを提案しました。1位になったことで、現在は街の議会からの予算調整や実施のための住民説明会などをtoprojektが行っています。日本では建築家がこのような都市規模のデザインを行える立場にはなく、建築家の社会的な地位が確立されているヨーロッパならではのプロジェクトだと思います。

 建築は施主の財産でありながら、あらゆる人の目に入るという公共性の高いものです。今後はtoprojektでの経験を活かし、日本のような環境で建築を作る中でも、その建物が都市の文脈の中でどのような意味を持つのかということを考えていきたいと思っています。


西村 彩里 (にしむら さり)
ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ 2014年度修了生
プログラム期間:2014年4月~2015年3月
語学研修期間:2014年4月~7月 ドイツ・ミュンヘンにある語学学校にてドイツ語研修
インターンシップ期間:2014年8月~2015年3月 TIGER COATINGS社(オーストリア)にて企業研修

 私は2014年度ヴルカヌス・イン・ヨーロッパプログラムに参加し、ドイツでの語学研修、オーストリアでの企業研修を行いました。私は兼ねてより、日本の外で起こっていることを知りたい、日本の常識の通用しない場所で生活したいと思っていました。また、ただ滞在するという受け身の経験ではなく、自分のこれまで身に着けてきた専門性を活かせる能動的な経験をしてみたいと思ったことがこのプログラムに応募した理由でした。

 初めの4ヶ月間は語学研修で、学校はミュンヘン市内にあり、私は当初ドイツ語の完全な初心者でした。しかし、家では心温かなホストマザーとにぎやかな同じ学校の生徒4人と寝食を共にし、自然とドイツ語が身についていったように思います。夕飯時にホストマザーのおいしい手料理を食べながら皆で話をするのが毎日なによりも楽しみでした。

企業研修での開発チームと

企業研修での開発チームと

 その後の8ヶ月間は、Tiger Coatingsというオーストリアの塗料会社にて企業研修を行いました。上司はスペイン人、同僚はオーストリア人と私の3人の小さなチームで産業用プリンターの開発に携わりました。特に私はトナー開発を同僚の補助として務めました。企業での研修は、大学での研究と異なり新しいことで溢れていました。例えばコストの削減、健康被害、特許を考慮に入れなくてはならないという点です。また小さなグループで働いていたため、設備や資金の制限があり何を優先して開発を行うかということや、メンバーそれぞれに役割があるため、自分はどのようにグループへ貢献できるかということをよく考えました。その上で大切なことは自身の考えを伝えること。私はできるだけシンプルに分かりやすく伝えることを意識しました。またオーストリアの「少ないストレスで生きようとする」独特な文化は、仕事の中にもよく表れており、興味深いものでした。こうした文化の違いを理解することもスムーズに仕事を行う上で必要不可欠であったと感じます。

 この一年で私は非常に多くのことを学び、それらは全てこのプログラムに参加しなければ得られない貴重なものでした。また一年を通し、たくさんの人との出会いも私を大きく成長させてくれたように思います。今私は日本で働き始めたばかりですが、これから携わる仕事は海外との仕事が多いと聞き、胸を躍らせています。この一年で得た力を活かして、ヨーロッパと日本を技術でつなぐ架け橋となれるよう、まずは目の前の仕事に一生懸命努めて参りたいと思います。


澤 光映 (さわ みつてる)
ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ 2009年度修了生
プログラム期間:2009年4月~2010年3月
語学研修期間:2009年4月~7月 ドイツ・ベルリンにある語学学校にてドイツ語研修
インターンシップ期間:2009年8月~2010年3月Panasonic Industrial Devices Europe社(ドイツ)にて企業研修

ヴルカヌス・イン・ジャパンのメンバーと学会へ

ヴルカヌス・イン・ジャパンのメンバーと学会へ

 大学院の学科の掲示板をふと見た時に、ヴルカヌスの募集要項が目に留まったことが始まりでした。就職活動のきっかけとして、インターンシップをしようと漠然と考えていた頃、1年という長期間海外に滞在し、企業で働くことは、関西圏でしか暮らしたことがない自分にとって、今までにない全く新しいことができると感じ、応募しました。ヴルカヌスで得た経験は、自分にとって非常に大きく、現在のキャリアにも繋がっています。

 プログラム最初の4ヶ月間はドイツ・ベルリンの語学学校でドイツ語の研修を行いました。授業は初心者向けですが、ドイツ語で進行。通学中の道路標識や人々の会話、スーパーの商品、あらゆるものがドイツ語で、自分は外国に住んでいると改めて実感しました。また、日々暮らす中で、彼らの文化や習慣を少しずつでも知れることが新鮮で、困難なことも多々ありましたが、自分自身や今後の目標について、じっくり考えることのできる貴重な時間でもありました。

 その後、企業研修のため、リューネブルクという小さな町で暮らし、小型無線デバイスを研究開発している部署で研修を行いました。そこでは上司の他に、同時期に研修生として来ていた学生と一緒に仕事をすることが多く、電子基板の設計や、新しい無線デバイスのデモに使用する画像認識プログラムの開発をしました。印象的なことの一つに、日本から出張で来られた社員の方のプロジェクトに参加できる機会があり、現場での交渉や実験、計測の補助、現地の案内を行いました。収集したデータが製品開発に役立っているよと、後に社員の方が日本から伝えてくださり、日独双方に渡って関わりがもて、ヴルカヌスの目的の一つでもある、日本と欧州の架け橋になることが微力でもできたのかなと思い、嬉しかったです。

 帰国後、世界中の人々と関われるようなものづくりをしたいと思うようになり、その場所としてインターネットに魅力を感じ、e-commerceを主軸とした企業に就職しました。そこでは海外向けe-commerce platformの開発やパリに駐在し、フランス向けのスマートフォンアプリケーション開発といった、国際関連のプロジェクトに携わっています。誰でも自由に使えるオープンソースのプロジェクトにも関わることで、様々な開発者とやりとりでき、自分の小さな変更が与える影響の大きさに、楽しさとやりがいを感じています。

 最後に、家族や日欧産業協力センターの方々、ヴルカヌスの同期、ホストファミリー、語学学校の先生や生徒、研修企業の上司や同僚、地元のミュージシャン、プログラムを通じて出会ったすべての人に感謝しています。一人では本当に何もできなかったであろうし、何より人と人との繋がりの大切さ、自分の思いを伝えることの重要さを学びました。ヴルカヌスは一人一人が全く異なる経験をする大変ユニークなプログラムです。日本とは全く異なる環境から得られるものは貴重で、視野を広げたり、将来を考えるきっかけが私には多くありました。今後も多くの学生が参加し、欧州の土を踏み、自分にしかできない経験をしてほしいと思います。

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