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九州・ベトナム経済交流ミッション2016を終えて 大村市 市長公室 企画調整課 管理グループ 小林 努 (元・九州経済産業局 国際事業課 産業交流係長)【配信日:2016/05/31 No.0255-1011】

配信日:2016年5月31日

九州・ベトナム経済交流ミッション2016を終えて

大村市 市長公室 企画調整課 管理グループ
(元・九州経済産業局 国際事業課 産業交流係長)
小林 努


 九州経済国際化推進機構は、2016年2月21日(日)~26日(金)にホーチミン市・ハノイ市へ、(一社)九州経済連合会 麻生 泰会長を団長とした総勢46名からなる経済交流ミッションを派遣しました。その内容をご報告します。


 日本は人口の減少により市場の縮小が予想され、九州企業が今後も存続・成長するには海外展開に取り組む必要があります。2013年に九州経済国際化推進機構(※1、以下機構)が九州企業に対して実施したアンケート調査によると、今後の海外展開先の希望としては、直接投資、直接貿易、情報収集拠点、業務・技術提携のいずれにおいても、他の国を抑えベトナムが第1位(間接貿易は僅差でタイに次ぐ第2位)でした。
 このように九州企業の関心が高いベトナムですが、機構は、2016年2月21日(日)~26日(金)にホーチミン市・ハノイ市へ、(一社)九州経済連合会 麻生 泰会長を団長とした総勢46名からなる経済交流ミッションを派遣しました。機構によるベトナムへのミッション派遣は、2013年8月の派遣に続き5回目ですが、今回のミッションでは、事前に九州企業に対しアンケート調査を実施し、関心の高いプログラムの把握に努めました。その結果、現地日系企業との座談会・懇親会、現地日系企業の視察といったプログラムの関心が高かったため、(1)専門家及び日系企業との座談会・懇親会、(2)日系企業視察、(3)JETROホーチミン事務所でのブリーフィングの他、(4)九州規模では初となる食品・食品加工分野での商談会を開催することにしました。それぞれのプログラムの実施結果は下記のとおりです。

<イオンモールタンフーセラドン店視察>
 ベトナム初のイオン。ホーチミン市の中心地から西へ9kmに位置するタンフー区に2014年1月11日にオープンしました。商圏はバイク15分圏内で、人口150万人が居住する人口密集エリアです。当モールは、ベトナム初となる郊外型ショッピングモールとして、地上4階建て(地下1階)、商業施設面積約50,000㎡、バイク4,000台+車500台の駐輪・駐車場を有する地域最大規模の商業施設であり、核店舗の総合スーパー「イオン タンフーセラドン店」と約120の専門店で構成されています。
 会議室にてイオンのベトナムでの事業展開等について説明を受けた後、店内を視察しました。

<ベトナム市場・投資環境勉強会(JETROホーチミン事務所)>
 安栖所長、大久保事業部長から政治・経済等に関するブリーフィングを受けた後、質疑応答を行いました。ベトナムは、人件費の安さ、政治の安定、拡大を続ける市場としての魅力がある反面、国有企業改革が進んでいない、銀行の債務の問題のリスクがある、といった説明がありました。

<ホーチミン地下鉄1号線建設工事視察>
 清水建設(株)が前田建設工業(株)とのJV(共同企業体)で受注した、ベトナム初の地下鉄工事となるホーチミン地下鉄1号線CP1B工区(オペラハウス駅およびバソン駅を含む延長1.74km)です。オペラハウス駅とバソン駅の駅舎建設も担当しています。受注金額は約232億円、契約工期は54カ月で、日本のODA(円借款)が活用されています。
 工事現場にてパネルを使って説明を受けた後、地上の開口部から地下の工事状況を視察しました。

<工場団地視察(VIE-PAN TECHNO PARK)>
 ホーチミン市内最大の工業団地であるヒェップフォック工業団地内にある、日系中小企業専用の工業団地です。ホーチミン市中心部から15km、サイゴン・プレミア・コンテナ港(SPCT)まで1km、タンソンニャット国際空港まで21kmの距離に立地しています。人事、会計、物流などの業務を代行するマネジメント機能も提供しています。
 会議室にてホーチミン市工業団地及びVIE-PAN TECHNO PARKの説明・質疑応答の後、SPCT港に移動して視察をしました。

<在ホーチミン日本国総領事表敬>
 (一社)九州経済連合会 麻生会長、九州経済産業局 岸本局長、九州ベトナム友好協会 矢頭会長、北九州ベトナム協会 山田会長、イオン九州(株)柴田社長等ミッション代表者が、中嶋総領事と意見交換を行いました。

<現地人材育成機関視察(ESUHAI)>
 ベトナム人のレ・ロン・ソン氏が2006年に設立しました。(1)ベトナム人材教育・研修事業、(2)ベトナム人技能実習生派遣事業、(3)ベトナム人高度技術者紹介事業、(4)ベトナム国内人財紹介事業、(5)ベトナム展開総合サポート事業を行っています。従業員150名、日本人スタッフ16名で、学生は技能実習生コース1,200名、技術者コース60名が在籍しており、卒業生は3,000名です。
 会議室にてESUHAIについて説明を受けた後、技能実習生コース・高度事術者コースの教室を視察し学生と交流しました。

<日系企業視察(ベトナム味の素社ロンタン工場)>
 ベトナム味の素社は1991年に設立され、1992年より「味の素」の生産を開始しました。2000年にはベトナム向け風味調味料Aji-ngon(日本の「ほんだし」に相当するもので、ベトナムの伝統的な"だし"、豚の大腿骨と肉を煮出したものを手軽に実現できる)、2005年からマヨネーズ類を発売するなど多角化を推進してきました。従業員数約1,700名です。ロンタン工場新設により風味調味料Aji-ngonの生産能力を倍増させ、海外食品事業を更に強化しています。
 社員食堂にて味の素製品を使用した昼食を試食した後、会議室にてベトナム事業の説明を受け、工場の視察を行いました。

<専門家及び日系企業との座談会(ホテル日航サイゴン)>
 ミッション参加者を食品・サービス、輸出入・貿易、物流・倉庫、人材育成・紹介、ホテル・観光分野の5テーブルに分け、各テーブルにJETROホーチミン事務所からご紹介いただいた専門家や日系企業の方を配置し座談会を開催しました。

<現地日系企業及び支援機関等との懇親会>
 在ホーチミン日本国総領事館、ホーチミン日本商工会、JETROホーチミン、在ホーチミン日系企業の方々等をお招きし、ミッション参加者と交流しました。

<ニャッタン橋視察>
 (株)IHIインフラシステムと三井住友建設(株)の共同企業体が2009年10月に着工し、2014年12月に竣工しました。本工事は、日本政府の円借款によるODA案件で、ベトナム中心部の紅河を跨ぎ、交通渋滞問題を抱えるハノイにおける幹線道路を建設したものです。世界的にも珍しい形式である6 径間連続鋼桁斜張橋(1,500m)の主橋部と取付橋部(1,580m)を合わせて総延長3,080mの規模を誇ります。以前はノイバイ国際空港からハノイ市内までの移動には1時間程掛かっていましたが、本橋の完成により30分に短縮されました。
 ノイバイ国際空港にてIHI担当者がバスに同乗し、車中にて解説を聞きながら視察を行いました。

<九州・ベトナム経済交流座談会(ハノイ デウーホテル)>
 ミッション参加者を4テーブルに分け、各テーブルにベトナム日本商工会の各部会長・副会長及び日系企業の方々を配置し座談会を実施しました。内容は、ベトナムでのビジネス・生活・文化等についての一般的な話題としました。

<九州・ベトナム経済交流事例報告会(ハノイデウーホテル)>
 ベトナム農業農村開発省、外務省関係者やミッション参加者等に対し、九州企業等のベトナムでの取り組みについて発表を行いました。講演タイトル・講演者は下記です。
・「九州農林水産業の成長産業化に向けた取組について」
 九州経済産業局農林水産業成長産業化支援室 川原室長
・「ベトナム農業の担い手の動向と佐賀大学のアンザン省における農業支援プロジェクト」
 佐賀大学農学部 辻准教授
・「K-RIPのベトナム環境プロジェクトの形成について」
 K-RIP 嶋田統括マネージャー
・「"くりんかロード"のご紹介~クリンカアッシュを活用し環境未来都市創りを!~」
 (株)環境緑化保全コンサルタント 楳木常務取締役

<在ベトナム日本国大使表敬>
 (一社)九州経済連合会 麻生会長、九州経済産業局 岸本局長、九州ベトナム友好協会 矢頭会長、K-RIP 坂井副会長、イオン九州(株)柴田社長等ミッション代表者が、柳臨時代理大使を表敬訪問し意見交換を実施しました。

<計画投資副大臣表敬>
 ミッション代表者が柳臨時代理大使にご同行いただき、グエン・バン・トルン計画投資副大臣を表敬訪問しました。トルン副大臣からは、日本のマネジメント(規律)や技術等を学びたい、とのコメントがありました。

<国家主席表敬訪問>
 ミッション代表者がチュオン・タン・サン国家主席を表敬訪問しました。サン国家主席からは、ベトナム経済への投資促進を目的とした訪日団の九州への派遣を増やしたい、とのコメントがありました。

<九州・ベトナム経済交流レセプション(ハノイデウーホテル)>
 外国投資庁ドゥ・ニャット・ホアン長官を始めとするベトナム政府関係者(計画投資省、外務省、農業農村開発省、天然資源環境省)、在ベトナム日本国大使館、JETROハノイ、JICAベトナム事務所、ベトナム日本商工会、在ハノイ日系企業関係者等とミッション参加者が交流しました。

<日系企業視察(タカギベトナム)>
 北九州市に本社があるタカギグループ初の海外生産拠点として、ハノイ市郊外にあるタンロンII工業団地内に2008年11月に設立され、2009年12月より生産を開始しました。敷地面積約2万4000平方メートル、延べ床面積3000平方メートルで、プラスティック部品の成形、散水用品の組立、金型部品の加工等のほか、セントラル浄水システムの開発・実証を行っています。
 会議室にてベトナム事業の説明を受けた後、工場の視察を行いました。

<九州の食品商談会(ロッテレジェンドホテル・サイゴン)>
 現地コンサルタントの(株)VIT Japanに商談会コーディネーターを依頼し、食品分野での商談会を開催しました。開催にあたっては、事前に同社社長の猪谷氏に福岡へ来ていただき、商談会参加者と綿密な打ち合わせをして本番に臨みました。商談会には九州側から6社参加したほか、九州農業成長産業化連携協議会、(一社)九州経済連合会がそれぞれ3社の代理として商品サンプルを持参し参加しました(計12社の参加)。ベトナム側は44社が参加し、商談件数は160件で参加者は休憩が取れないほどの盛況ぶりでした。
 商談会の前日や翌日には、商談会コーディネーターの案内で飲食店やインポーターを訪問し、営業や情報収集に努めました。
 商談会終了後に早速2社に対して現地企業からオファーが来ており、今後の展開が期待されます。
 
 本ミッションは、内容の充実を優先した結果、最終日の午後以外は全てスケジュールが詰まっており、参加者の中にはハードに感じた方もおられたかもしれません。しかし、開催後のアンケートを見ると、現地の事情が良く分かったなど、参加して良かったとのコメントが多数寄せられ、主催者としては嬉しい限りでした。本ミッションの実現に向けてご協力を頂きました皆様に、この場をお借りして心から御礼を申し上げます。

 ※1九州経済国際化推進機構:九州における国際経済交流の一元的組織として、九州の経済団体、地方公共団体、民間企業等が一体となって、九州と外国との産業交流、観光交流、人材交流を通じた九州の活性化と自立的な発展を図っている。事務局は九州経済産業局と(一社)九州経済連合会が担っている。

IIST 国際経済産業交流事業
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