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第9回CLMV有望指導者招聘事業に参加して | ミャンマー商工会議所 若手起業家協会 事務局長 キン テッ モウ【配信日:2016/01/29 No.0250-0251-0997】

配信日:2016年01月29日

第9回CLMV有望指導者招聘事業に参加して

ミャンマー商工会議所 若手起業家協会 事務局長
Executive Director—Ace Dragon Group of Companies, Social Vision Services
キン テッ モウ

 2015年10月5日~9日にかけて、東京、大阪で(一財)貿易研修センター(IIST)が主催する第9回アジア(CLMV)有望指導者招聘事業が開催された。このプログラムは日本とCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の関係者の間で人材育成に関する情報提供や意見交換を行うことを主たる目的として開催されたもので、日本の人材育成政策や教育システム、職業訓練の重要性等が紹介された。各国より3名が参加し、ミャンマーからは政府関係者2名と民間部門(ミャンマー商工会議所 若手起業協会)の代表者として、私が参加した。このプログラムを通じて得た経験や学んだことを自分の意見を織り交ぜながら紹介していきたい。

 初日に、私達は日本には民間企業の人材育成を手がける機関が多数存在することを知った。日本能率協会(JMA)の講義では、彼らが提供している人材育成サービスの内容のほか、日本企業がCLMV諸国へビジネス展開をする上で、日本の人材育成文化を海外に広めていく方針であることも学んだ。また、JMAの過去のプログラムや経験も紹介された。JMAは1942年代に「日本的性格の能率運動」「理論よりも実行」「重点主義」といった3つの運営三原則に基づき創設された。その後、創立初期段階の1944年にはユニークなアプローチで、タンカーの建造工期を8か月から3か月へ短縮する画期的な製造方法と経営方式を打ち出している。近い将来、JMAグループは日本だけでなく海外に活動を広げていくことを目標としており、経営革新に優れたJMAグループは今後も調和のとれた持続可能な社会のため、人類、組織そして情報の更なる飛躍を遂げていくであろう。
 荒木義宏氏(株式会社 共同通信社 ミャンマー経済クラブ 企画顧問)からは講義を通じて、自らの経験に鑑みたメコン地域における職業訓練センターの説明や中小企業にとって職業訓練校がいかに重要な人材育成機関であるかといった説明があった。同氏はCLMV諸国の専門家でもあり、職業訓練校に関してよい議論をかわすことができた。現在も日本の民間企業とミャンマーの職業訓練センターが協力して運営している事業も紹介された。その話を聞いて、ミャンマーの地方に若い世代の雇用を生み出すためにも、もっと多くの職業訓練校があればいいのにと強く感じた。その後、IISTの幹部も参加する、歓迎ディナーへ参加した。

 2日目には経済産業省坂本敏幸通商交渉官を表敬した。その後、経済産業政策局産業人材政策室からの日本における人材育成政策に関するブリーフィングでは、産業発展のため中小企業や産業界をどのように支援しているか説明を受けた。経済産業省が常に自国の経済発展のため、産業の発展、産業界との協力の支援方法を考えている姿勢が伝わり感銘を受けた。

 その後、(一財)海外産業人材育成協会(HIDA)から現行・新規プログラムの説明を受けた。HIDAは日本と海外諸国の相互の経済発展および友好関係の増進に寄与する目的で、産業国際化の推進、貿易の振興、投資活動の促進および国際経済協力に関する事業を行っている。2012年に(財)海外技術者研修協会(AOTS)と(財)海外貿易開発協会(JODC)が合併してHIDAが誕生したが、すでに国内外で20万人の研修を終えている。HIDAは国内に2つのオフィスと研修センター、海外には4つのオフィスがある。また、CLMV諸国においても日本のビジネス界の人材育成のニーズにこたえるべく訓練プログラムを拡大していく計画がある。
 その後、海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企業である日本郵船株式会社(NYK)を訪問し、人材の育成方法や従業員の士気を高めるための取り組みに関する説明を受けた。この企業は1885年に創業され今や1600人の従業員を抱え、役員会には日本人だけでなく外国籍の方もいる。また、海上運送業から徐々に客船事業、ターミナル関連事業、海運周辺事業、不動産業などへと事業を拡大している。同社は従業員の能力を最大活用するため、非常に強固かつ組織的な人材育成チームを有している。
 3日目、まず私達は富士インパルス株式会社を訪問し、中規模工場の運営方法や効率的な製造行程等について話し合い、実際に工場見学を行った。この会社は1956年に創業し、今は3世代目の社長へと引き継がれており、100名近い従業員がいる。同社は国内工場の他、海外に2つ工場を保有し、海外人材を採用し技術のみならず日本の経営文化も伝えている。また同社の工場運営は機械を主力とし、より多くの人材を研究開発にあてている。その後、私達は近畿経済産業局から関西地域の中小企業のビジネス展開支援をどのように支援しているか、地域経済活性化や中小企業間のネットワーク強化に対する施策などの説明を受けた。
 昼食後には、農業機械板金加工部品の製造、設計及び開発を手がける南海金属株式会社を訪問した。この会社は(株)クボタの製品の部品を長年製造しており、同社はこうした大企業と良好な関係を構築することにより、従業員に対して仕事を保証できているのだと学んだ。また気がついたのは経営方針が自由で現場にいる従業員を中心に工場が動いているという点であった。経営者も従業員に対してオープンかつ柔軟に対応しており、こうして従業員のやる気を育て、より高い生産性に結びついているのだと感じた。また、同社はベトナムに2013年より工場を有し、ベトナムの従業員に対してOJT訓練を実施していた。
 最終日、グローバルに冷暖房機を製造しているダイキン工業株式会社を訪問した。この会社は1924年に設立され、従業員を育成しながら徐々にグローバルな大企業へと成長し、確固たる経営基盤を確立している。彼らのモットーに「一人ひとりの成長の総和がグループの発展の基盤」とあり、まさに人間中心の経営体質となっている。人材育成は企業の成長の要であり、社会の発展に寄与する。私達はショールームも見学し同社の製品の高い技術力と素晴らしい経営について理解を深めた。また、従業員がとてもよく訓練され、中間管理層の調和がとれていると感じた。
 その後、トラクターなどの農耕機械や産業機器を製造する株式会社クボタを訪問した。この企業もグローバルに事業を展開しており、素晴らしい経営システムであった。
 夜には近畿経済産業局の方々も交えて、修了式とフェアウエルディナーが行われた。私達は自由に楽しく、CLMV諸国の仲間や日本人の方々と情報交換を行うことができた。

 結論として、日本の政府・民間の協力体制の素晴らしさに感銘を受けた。多くの中小企業は家族経営が多く、従業員を家族のように大事にしているとも感じた。一方、こうした企業は高い技術力を活かし、人員を減らし、コスト削減にも結び付けているが、このような現状をみて、いずれ人材があまり必要でなくなり、失業率が高まり職を得るための競争力が高くなるのではという懸念も生じた。大企業では細かい作業にいたるまで組織的に効率よく事業を運営し、社員のやる気を保つような制度もあり素晴らしいと思った。
 最後に、人材育成開発について学ぶだけでなく日本の文化にも触れることができるこのような素晴らしい機会を提供してくれたIISTとMETIへ感謝したい。私は日本人が自制心にあふれ、道徳観があり態度が素晴らしいことを学んだ。こういった重要な点を今後もビジネスの環境面や社会環境の改善を考える上で大事にしていきたい。


(原文:英語)
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