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連載 キーワードで知る日本 「福島沖 洋上風力」 【配信日:2015/09/30 No.0247-0985】

配信日:2015年9月30日

連載 キーワードで知る日本
「福島沖 洋上風力」

 再生可能エネルギーの利用拡大を目指し、福島沖で洋上風力発電の実証実験が進められている。経産省の委託を受け、東京大学、商社、電機メーカー、ゼネコンなどが発足させたコンソーシアムが事業の主体。沖合18キロメートル地点に出力7メガワットの世界最大級の発電設備を設置、2015年秋から試運転を開始する予定だ。

 政府が決定した2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)によると、電力供給全体に占める原子力発電の比率は20~22%(2010年度実績は28.6%)に抑制する。その代わり、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーを現行比で倍増となる22~24%まで引き上げる方針だ。その中で、洋上風力発電は2030年度以降を見据えた長期的なテーマと位置付けられている。

 洋上発電には、水深の浅い場所にプラントを設置する「着床式」と、水深50~200メートルの深場を想定し、風車を乗せる海上の浮体と海底の土台をチェーンでつなぐ「浮体式」の2種類ある。諸外国の洋上風力発電は低コストの着床式が主流だ。洋上風力発電に前向きな欧州では着床式を中心に洋上風力発電を拡大し、2020年までにEUの電力需要の3.6%を賄う計画が進められている。

 日本の場合、欧州に比べ着床式に適した浅い海域が少ないという制約がある。しかし、経産省幹部は「四方を海に囲まれた日本として、洋上の有効活用は重要な課題」と強調。水深のある洋上でも発電できる浮体式の実用化に力を入れる。福島沖では既に2メガワット級の1号機が稼働している。今回設置する7メガワットの2号機のほか、今後5メガワットの3号機も追加し、データ収集やメンテナンス性の確認に取り組む計画だ。

 浮体式の洋上風力発電は建設コストがかさむのが難点。現時点で課題は多いが諸外国に先駆けて実用化にこぎつけることができれば、我が国は再生可能エネルギーの分野で世界の先頭に立てると経産省はみている。

 2011年3月の東京電力福島第1原発の事故以降、原子力発電に対する信頼は大きく揺らぎ、日本の電力供給は不安定化している。他方、電気の質とコストは国民生活だけでなく、日本経済の国際競争力に直結する。

 エネルギー小国の日本が今後も繁栄を続けるには、再生可能エネルギーの導入により化石燃料への依存度合いを引き下げる努力が不可欠。今回のプロジェクトは、原発事故が発生した福島を舞台に、日本が描く再生可能エネルギーの未来図を世界に問う一面も併せ持つ。

この記事は専門のジャーナリストに執筆をお願いしています。
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