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連載 キーワードで知る日本 「法人税改革」 【配信日:2015/03/31 No.0241-0967】

配信日:2015年3月31日

連載 キーワードで知る日本
「法人税改革」

 法人実効税率や課税の仕組みを見直す政府の取り組み。政府は成長戦略の一環で、約35%の法人実効税率を数年で20%台に引き下げる目標を示している。2015年度税制改正では、2015年度に2.51%、2016年度までの2年間で3.29%引き下げることが盛り込まれた。税収減を補う財源は3年間で確保するが、減税を先行させ、企業に従業員の賃上げを促す。

 法人実効税率は、企業が得た利益に対して実際どれくらい税金が課されるのかを示す税率。国税の法人税に、地方税の法人事業税、法人住民税を加えるなどして算出する。日本の標準税率は34.62%。韓国、シンガポールなどに比べて高く、引き下げを求める声が経済界から出ていた。

 こうした中、政府は2014年6月に閣議決定した改定成長戦略で、ビジネス環境を改善するため「実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げる」とし、具体的に、2015年度から「数年で20%台まで下げることを目指す」との目標を示した。実現に向けて第1段階と位置付けられる2015年度税制改正に基づき、税率は2015年度に32.11%、2016年度には31.33%に下がる。

 税収減を穴埋めする財源確保策としては、大企業を対象に、赤字でも課税する法人事業税の外形標準課税を拡大。赤字を翌年度以降の黒字から控除できる欠損金繰り越し控除制度の縮小や、企業が関連会社から受け取る配当金への課税強化なども盛り込んだ。一方で、一定以上の賃上げを行った企業や中堅企業については、外形標準課税の負担を軽減。中小企業にリーマン・ショック後の特例として適用している法人税率軽減の期限は、2年延ばして2016年度末とする。

 これらにより、2017年度までの3年間では法人課税全体で増減税が均衡する。ただ、2015~16年度の2年間は減税額が増税分を上回る先行減税となり、企業にとっては2年間で計約4200億円の実質減税だ。

 こうした実効税率の引き下げ幅や先行減税は、経済成長を優先したい首相官邸の意向で固まった。東日本大震災の復興財源に充てる復興特別法人税の前倒し廃止を決めた2014年度税制改正に続き、財政再建を重視する財務省を官邸側が押し切った格好だ。安倍晋三首相は2014年春闘に続き2015年春闘でも、企業の税負担軽減を強調し、経済界に賃上げを要請している。賃上げが大手企業から中小まで広がり、消費が喚起されて経済の好循環につながるかどうかが焦点だ。

 政府・与党の2015年度税制改正大綱は、改革の第2段階として、「課税ベースの拡大などにより財源を確保して、2016年度における税率引き下げ幅のさらなる上乗せを図る」とし、以降も「改革を継続する」と明記した。外形標準課税については、「適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う」との方向性を示した。ただ、中小企業への課税強化には強い反発があり、議論の難航が予想される。目標とする実効税率20%台の実現は依然、不透明だ。

この記事は専門のジャーナリストに執筆をお願いしています。
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