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連載 キーワードで知る日本 「エネルギーのベストミックス(最適な電源構成)」 【配信日:2015/02/27 No.0240-0963】

配信日:2015年2月27日

連載 キーワードで知る日本
「エネルギーのベストミックス(最適な電源構成)」

 2030年時点の日本で消費されるエネルギーをまかなうため、太陽光・風力といった再生可能エネルギーと、原子力、火力などの各電源をどのような割合で組み合わせるかを示す目標。政府は2015年夏までに策定する方針で、2015年1月30日に開いた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の長期エネルギー需給見通し小委員会で議論が始まった。

 2014年4月に政府が閣議決定したエネルギー基本計画では、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、「原発依存度を可能な限り低減する」と明記された。この方針に沿って、経産省は原発比率を事故前の水準である3割から減らす意向だが、どの程度まで引き下げるかが焦点だ。

 国内の原発は、2013年9月に関西電力大飯原発4号機(福井県)が定期検査のために停止して以来、稼働ゼロの状態が続いている。電力の供給力不足を補っているのは主に火力発電で、燃料となる原油や天然ガスなどの輸入が急増し、エネルギーの国内自給率は現在わずか6%にとどまる。

 経産省の集計によると、国民が2013年度に支払った電気料金の合計は16兆8000億円で、福島第1原発事故前に比べて2兆円以上も増えた。安倍晋三首相はこの状態を「国富の流出」と憂慮しており、原子力規制委員会の新規制基準に基づく適合性審査を通過した原発は「安全」と判断し、速やかに再稼働させる姿勢を再三強調している。

 需給見通し小委員会は、坂根正弘委員長(コマツ相談役)以下、企業役員や学識経験者ら14人で構成されている。初会合では、産業界を代表する委員から「企業の国際競争力の観点から、電気料金の安定が火急の課題だ。原発を一定レベルで維持するのが現実的」との意見が出た。

 これに対し、消費者団体からの参加者は「再生エネを最大限導入し、これまでのエネルギー需給構造を大きく見直してほしい」と発言。原発へのアレルギーは依然強く、原発の運転が止まっているにもかかわらず原発比率を議論することへの警戒感もくすぶっている。小委員会で明確な結論を出せるかどうかは予断を許さない。

 一方、政府が2010年度以来となる電源構成の策定に取り組むのは、国際社会の要請でもある。

 日本では、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量が、2013年度は前年度比1.4%増の12億2400万トンと、統計が始まった1990年度以降では最高を記録した。火力に偏ったエネルギー供給体制を続けるのはもはや限界だ。

 2015年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、2020年以降の温室効果ガス排出削減に向けた新たな枠組み合意を目指す。それを前に、日本を含む参加国は温室ガスの削減目標を個別に表明する必要があり、電源構成はその算定根拠になる。

 節目はその前にもある。2015年5月22、23日には福島県いわき市で「太平洋・島しょサミット」が開かれる。日本と太平洋の島しょ国・地域の首脳が集まる会合では温暖化に伴う海水面上昇への対応などが協議される見通し。日本はそこで温暖化対策に取り組む真剣度をアピールしたいところだ。

 与党幹部は「自国開催で安倍首相に恥をかかせるわけにはいかない」と話す。政府内では、早ければ2015年5月の大型連休明けにも電源構成を固め、太平洋・島しょサミット前に温室ガス削減目標を打ち出すシナリオも検討されているもようだ。

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