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連載 キーワードで知る日本 「改定成長戦略」 【配信日:2014/7/31 No.0233-0939】

配信日:2014年7月31日

連載 キーワードで知る日本
「改定成長戦略」

 日本経済再生に向けて、政府が取り組むべき施策を列挙した政策集の改定版。6月に閣議決定した。1年前の公表時には、多くの有識者らから踏み込み不足を指摘され、株価が下落した。このため、今回の改定版では、雇用・労働、農業、医療などの分野の「岩盤規制」に挑む姿勢を市場に強くアピールする形に仕上げた。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略-という「3本の矢」で構成されている。このうち、日銀は2013年4月に質的・量的金融緩和政策に踏み切り、政府も第2次安倍政権発足後、累計200兆円を超える財政出動を決めた。残されたのは成長戦略だ。

 制約はあるが必要に応じて繰り出すことができる金融政策や予算と違い、成長戦略は関連法の改正や関係者の利害調整などが前提となる。目標達成までに時間を要するのは必然で、1本目、2本目の矢とはスピード感が決定的に異なる。

 安倍政権は、改定成長戦略で企業改革を冒頭に据えた。まず、焦点となった法人実効税率は「15年度から数年で20%台まで引き下げる」と明記。引き下げを強く求めた安倍首相が、財政赤字解消のために減税を避けたい財務省や、自民党税制調査会の抵抗を押し切った。

 減税の恩恵を受ける企業にはムチが用意されている。収益を設備投資や賃上げ、配当へ回すよう、投資家による監視体制の構築を急ぐ。企業の行動原則を定めた「コーポレートガバナンス・コード」を15年半ばまでに策定し、「独立社外取締役」の導入による経営の透明性向上や、女性の幹部登用を強く促すことを盛り込んだ。

 雇用・労働分野では、年収1000万円以上の高所得社員を対象に、労働時間の上限を撤廃する「ホワイトカラー・エグゼンプション」を創設する。報酬は仕事の成果に対して支払われる。労働組合には「サービス残業が増える」との警戒感が強いため、政府は、労働界、経済界の代表で構成する「政労使会議」で丁寧に検討する。

 農協改革では、地域の単位農協を束ねる全国農業協同組合中央会(JA全中)の組織見直しに踏み込んだ。個別農協の創意工夫を阻害しているとの見方があり、JA全中の権限を縮小する。年末までに政府・与党で具体策を詰める。

 医療では混合診療を拡充する。医療保険の適用対象となる診療と保険外診療を併用する混合診療は原則禁止だ。しかし、患者が国内で前例のない治療を希望すれば、通常半年かかる国の安全審査を6週間に短縮して可否を判断する。

 このほか、学童保育児童の受け入れ拡大や国家戦略特区における外国人メイドの在留条件緩和などで共働き世帯の負担を軽減。燃料電池車やロボットの普及にも努める。派手に並んだ政策の先には明るい未来が待っているはずだが、その実現には、高支持率を頼む安倍政権による施策の完全実施が絶対条件だ。

この記事は専門のジャーナリストに執筆をお願いしています。
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