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新連載 キーワードで知る日本 「環太平洋連携協定(TPP)交渉」 【配信日:2014/6/30 No.0232-0935】

配信日:2014年6月30日

新連載 キーワードで知る日本
「環太平洋連携協定(TPP)交渉」

 日本、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、マレーシアなど、太平洋を取り囲む12カ国が締結を目指している広域の自由貿易協定(FTA)。交渉は2010年にスタートした。日本は13年3月、安倍晋三首相が交渉への参加を表明し、同年7月から正式に協議に加わった。

 交渉参加12カ国の経済規模は世界全体の約4割を占め、貿易額では世界の3分の1に達する。12カ国平均でみた1人当たりの国内総生産(GDP)も約3万5000米ドル(11年)と、世界平均の約1万米ドルに比べて高水準だ。協定が発効すれば、巨大な経済圏が誕生する。

 日本経済は世界3位の規模を誇るが、人口減少と高齢化に直面し、成長著しいアジア諸国に比してその地位は明らかに低下傾向だ。交渉の矢面に立つ甘利明TPP担当相は、日本がTPP交渉に加わる狙いについて、「アジア太平洋地域の成長を日本に取り込む」と説明している。

 TPPは、物品の関税を参加国が相互に撤廃・削減して市場を開放することだけが目的ではない。投資や競争政策、知的財産権、政府調達といった非関税分野においても、各国企業が国境を越えて円滑に活動できるように共通ルールを策定。貿易手続きの簡素化や紛争解決制度の導入など、交渉分野は21に上る。

 さらに、「21世紀型の協定」として、貿易・投資の促進と環境保全の両立を標ぼう。経済効率を優先するあまり労働基準を緩和することがないようにくぎを刺すなど、幅広い分野で参加国が共通認識を持つことを重視しているのも特徴だ。

 交渉では、参加国の閣僚や交渉官が一堂に会する場面もあるが、利害関係が複雑に絡み合うため、合意を得るのは容易ではない。このため、テーマごとにさまざまな交渉官レベルで2国間交渉を重ね、そこで得られた成果をさらに別の国との交渉に反映させるという作業を繰り返す。それが最終的に全体の合意形成につながる仕組みだ。

 13年中の合意を目指していた交渉は、各国の意見の隔たりを埋められないまま難航しており、事態を打開できるのは日米の2国間協議と言われている。両国を合わせた経済規模は参加国全体の約8割を占め、日米協議の動向がTPP交渉全体の方向性を決める構図になっているからだ。

 その日米交渉は、日本が農林水産分野で特に重要と位置付けたコメ、麦、牛肉・豚肉など5項目の関税をめぐって対立が続いている。衆参両院の農林水産委員会は政府に対し、重要5項目の関税維持を求める決議をしており、安倍首相もそれを尊重する考えを再三表明している。

 これに対し米国側は、関税の原則撤廃を求める畜産団体などの意向を受けて、強硬姿勢を崩していない。11月の中間選挙を控えて、オバマ政権が安易に妥協できない事情もある。7月には実務レベルの最高責任者である首席交渉官会合が開かれるが、そこで日米が歩み寄り、協定締結への流れが加速するかどうかは予断を許さない。交渉に期限はなく、長期化するとの見方も根強い。

この記事は専門のジャーナリストに執筆をお願いしています。
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