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第7回CLMV有望指導者招聘事業に参加して | ミャンマー連邦共和国商工会議所連合会 若手起業家協会 中央執行委員会 7HR Business Group 最高経営責任者【配信日:2013/12/27 No.0226-0915】

配信日:2013年12月27日

第7回CLMV有望指導者招聘事業に参加して

ミャンマー連邦共和国商工会議所連合会
若手起業家協会
中央執行委員会
7HR Business Group 最高経営責任者
タン・ソー

 一般財団法人貿易研修センター(IIST)は、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV諸国)の中小企業の発展に資するため、2013年10月21日から10月26日にかけて東京と浜松で「第7回CLMV有望指導者招聘事業」を実施した。同プログラムには、CLMV諸国の政府関係者や商工会議所の幹部ら11名が招へいされ、私はミャンマー連邦商工会議所連合会(UMFCCI)の下部組織であるミャンマー若手起業家協会(MYEA)の代表として参加する機会を得た。プログラムには、政府・政府関連機関、地方の商工会議所との意見交換のほか、業界のリーダー的企業やモデルとも言うべき企業の視察も含まれていた。

 初日には、経済産業省(METI)を訪問し、政府が振興政策や施策を通じてどのように中小企業を育成・振興しているかについて意見交換を行った。来日するまでは、日本にこれほど多くの中小企業があり、各中小企業の経営状況も千差万別であるとは知らなかった。また、意見交換を通じて、日本の中小企業はアジアとより深く関わることで大きな利益を得るのではないだろうかと考えるようになった。日本の中小企業は主に大企業へのサプライヤー機能を果たしてきた。そのため、一部の例外を除き、中小企業は国内指向の傾向があり、その製品の輸出は大手多国籍企業や総合商社のバリューチェーンを通して間接的におこなわれている。多くの中小企業の海外進出目的は、コスト削減だけではなく、現地市場の開拓や現地販売の向上にもあることがわかった。資源の限られた中小企業にとって、CLMV諸国は地理的にも近い市場であることから、海外進出先として最適であると思う。また、日本では国内総生産のかなりの部分を中小企業が占めていることから、中小企業の国際化が進めば、日本とアジア両方にとって成長の新しい原動力となりうるのではないだろうか。

歓迎レセプションにおける参加者

歓迎レセプションにおける参加者

 2日目は、中小企業基盤整備機構(SMRJ)を訪問し、中小企業に対する技術やマーケティング等の支援がどのように行われているかについて、貴重な情報を得た。SMRJは中小企業大学を通じて、中小企業の経営知識に興味のある人に学習する機会を提供すると同時に、創業支援等も行っている。その後、小規模ながらも特色のある医療機器メーカー、株式会社メトランを視察した。同社の創業者でもある現社長はベトナム出身であるが、日本への留学を経て、帰化した方である。この会社は世界初の未熟児用「高頻度振動換気(HFO)人工呼吸器」を製造し、販売している。規模は小さいにもかかわらず同社は徹底的な研究開発努力に裏打ちされた最先端技術により高品質の医療機器製造で躍進している。

浜松商工会議所メンバーとの意見交換会

浜松商工会議所メンバーとの意見交換会

 3日目は、新幹線で日本有数の工業都市の1つである浜松市に移動した。到着後、まず浜松商工会議所の国際経済特別委員会のメンバーの歓迎を受けた。浜松市の産業と経済の特徴および加盟企業の抱える課題について講義を受けた後、委員会メンバーと意見交換をする機会を得て、CLMV諸国への投資に関する委員の見解を伺うことができた。日本の中小企業は利用可能な政府の支援制度をフルに活用することによって自らの競争力を強化していることや、新たに創業する起業家が多くいることも学んだ。意見交換会のあと、同会委員長が会長を勤める株式会社ソミック石川を視察した。同社はボールジョイントなどの自動車部品を製造し、日本国内で50%近いシェアを持っており、トヨタやスズキといった主要国内メーカーに製品を提供している。さらに、「ツルミオートパーツ協同組合」も視察した。ここはソミック石川のサプライヤー5社が、同じ工場建屋の中で集約的に操業している工場で、設備を共有する事による生産効率の最大化とコスト削減を図っているのが特色である。こういった工夫により、企業が厳しい市場環境においても競争力を維持することができているようだ

 この日の最後に、株式会社鈴木楽器製作所を訪問し、創業者の鈴木萬司会長のお話を伺う機会を得た。同社は多種多様なハーモニカをはじめ、様々な教育用楽器等を製造している。主力製品のメロディオン(鍵盤ハーモニカ)は全国の学校で広く使用され、日本の多くの小学生に愛用されている。私たちは、CLMV諸国の教育市場でメロディオンのような楽器の需要がどれだけあるか等について話し合った。
 4日目には、浜松で有名なお土産である「うなぎパイ」というお菓子の製造会社、有限会社春華堂の運営する「うなぎパイファクトリー」を視察した。うなぎパイは浜松の代表的なお土産品で、外国人にも非常に人気があるということだった。同社の戦略の特徴は、販売地域を大阪・東京間の土産物店に限定していることで、浜松の特徴あるお土産としての価値を維持出来ているという。
 最終日には東京の墨田区を訪れ、どのように地元の伝統工芸品等に付加価値を与え、日本人のみならず外国人にとっても魅力のあるお土産品として完成させるかについて学んだ。また、世界一高い自立式電波塔である東京スカイツリーの付属施設を散策する機会を得た。さらに、素晴らしい江戸小紋染で多様な織物や素材を染めることで有名な有限会社大松染工場も視察した。

有限会社大松染工場

有限会社大松染工場

 経済・産業の環境の変化に応じて、日本のMETI、SMRJ、商工会議所は、自立した活力ある中小企業を幅広く育成し支援するため様々な政策を策定し、制度を運用してきた。これに対しCLMV諸国は、自国の中小企業のために、技術援助や脆弱なインフラの補完など、限られた政府支援しか行っていない。私は、CLMV諸国の政府が、自国の中小企業について十分な知識を持っていないのではないかと懸念している。そこで、日本の理想的な中小企業支援実績を研究することを強く推奨したい。企業の創業にとって資金は最も重要な要素であり、資金なしにビジネスを行うことなどありえない。独創的な事業アイデアは、開発の早い段階で支援と資金提供を必要としている。何よりも、日本の資金供給システムは十分に成熟し非常に手厚いということがわかった。また、(株)メトラン、(株)ソミック石川、(株)鈴木楽器製作所の視察を終えてわかったことは、中小企業が製造業部門で大変活躍しており、日本の工業生産において不可欠な部分を占めていることである。日本には中小企業を支援し振興するための強固な基盤が全国にわたって確立されていると感じた。

 IIST、METI、およびその他本事業を通じてお世話になった方々に、中小企業についていろいろ学ぶ機会を提供してくれたことについて、参加者全員に代わって感謝を申し上げたい。私たちは本事業を通じて、とりわけ実際の「中小企業」の視察によって多くを学ぶことができた。中小企業そのものについての知識や将来に対する展望、文化、特性、政府による支援制度等を学ぶ良い機会だった。こうして学んだすべてのことは、まさに私たちの国の中小企業支援政策を考える上での基礎となってくれるだろう。第7回CLMV有望指導者招聘事業に参加したことによって中小企業に関連した様々な面について学ぶことが出来た。また、中小企業に関する各国の様々な事例やコメントから多くを学ぶと同時に、こういった機会を通じてまた新しいアイデアが生まれうることにも気づかされた。何はともあれ、重ねてお礼を申し上げる。

(原文:英語)


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