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注目されるベトナム中部都市ダナン =大規模工業団地開発で日本企業進出加速= | 時事通信社 時事総合研究所 客員研究員 山川 裕隆【配信日:2013/05/31 No.0219-0890】

配信日:2013年5月31日

注目されるベトナム中部都市ダナン
=大規模工業団地開発で日本企業進出加速=

時事通信社 時事総合研究所 客員研究員
山川 裕隆


 ベトナム中部で最大の都市、ダナン市が最近注目を集めている。ラオス、タイ、ミャンマーを結ぶ「東西経済回廊」の東の起点であり、ダナン国際空港や貿易港ダナン港もある。また、大規模な「ダナンハイテクパーク」や米シリコンバレーのベトナム版「ダナンITパーク」の開発も進められている。日本企業の同市への進出は60社弱で、まだ少ない。しかし、大学が多く、人材は豊富だ。日本からの直行便が就航すれば、日本企業の進出は加速しそうだ。


▽人口96万人
 ダナン市は首都ハノイ市と商業都市ホーチミン市のほぼ中間にあり、人口は約96万人だ。5つある中央直轄都市の1つでもある。ダナン国際空港はベトナム3大空港の1つで、市中心部まで車で約10分と便利だ。同空港から市中心部まで行く途中、韓国のサムスン電子やLG電子の看板が多いのには驚いた。パナソニックなど日本メーカーの看板も時々目に入るが、看板の多さは韓国勢が圧倒している。現在、韓国やシンガポール、台湾などからダナンへの直行便はあるが、日本からはない。ダナン港はホーチミン港、ハイフォン港に次ぐ、ベトナムでは3番目に大きな港だ。ティエンサ港、ハン川港、整備中のリエンチィュウ港の総称で、主要港はティエンサ港だ。
 同港は水深が約11メートルで、豪華客船「飛鳥」も入港できる。海岸沿いには欧米のホテルが数多くあり、海水浴なども楽しめる。筆者はホーチミンから飛行機を利用してダナンに入ったが、機内には欧米人の旅行客が多かった。ダナンから世界遺産があるフエやホイアンを観光する人たちだ。
 
▽環境都市宣言
 ダナン市は2008年に環境都市宣言を行った。筆者が4月にダナン市に滞在中、同市が横浜市と「持続可能な都市発展に向けた技術協力」に関する覚書を締結した。横浜市からは副市長や同市の中小企業のミッション団が調印式に出席していた。この覚書の骨子は、横浜市が上下水道やごみの減量など同市が持つ環境に配慮した街づくりの技術やノウハウを、同市の企業と連携してダナン市に提供することだ。横浜市は昨年、同様な提携をフィリピンのセブ市と結んでおり、ダナン市は2番目だという。このように、ダナン市は、環境問題にも積極的に取り組んでいる。ダナン市内を流れるハン川沿いはきれいに整備されており、朝早くから大勢の市民がウォーキングやジョギングを楽しんでいた。
 
ハン川沿いを早朝ウォーキングするダナン市民

ハン川沿いを早朝ウォーキングするダナン市民

▽1人当たりGDP2283ドル
 ダナン市の11年の1人当たりの国内総生産(GDP)は2283ドルで、ベトナムの全国平均(1374ドル)を900ドル強上回っている。主要産業は水産加工や縫製、建材製造、観光などだ。外国企業は352社(11年)が進出しているという。ダナン日本商工会に加盟している日本企業は13年3月末現在、小型モーター大手のマブチモーターやカップ麺大手のエースコック、音響・車載用スピーカー部品・製品の専業メーカーのフォスター電機など57社だ。日本からダナン市への投資件数は12年12月末現在、累計で60件、総投資額は3億1500万ドルに上っている。ダナン駐日代表部によると、件数では第1位だ。韓国企業の進出が多く、今年3月には同国の大手スーパー、ロッテマートがオープンした。同社はホーチミンやハノイにはすでに出店しているが、ダナンは初めてだ。
 ダナン市には5つの主要工業団地がある。日本企業が入居しているのは、ホアカイン工業団地(総面積212ヘクタール)とホアカム工業団地(同266ヘクタール)の2団地だ。ホアカイン工業団地はダナン市内から車で約30分と便利だ。ここにはマブチモーターやエースコックなどが入居している。ホアカム工業団地はダナン空港から約10キロ、主要港のティエンサ港から約20キロの場所にあり、フォスター電機などが入っている。

▽大規模なハイテクパーク
 これら5つの工業団地のほか、現在、ダナンハイテクパークの開発が進められている。同パークは市中心部から西方約22キロ、ダナン国際空港からは約17キロ、主要港のティエンサ港からは約25キロの地点にある。ハノイ、ホーチミンに次ぐ、ベトナム第3のハイテクパークだ。計画によると、総面積は1232ヘクタールで、約300ヘクタールは造成済み。全体の面積のうち、工場などの建物部分は673ヘクタールで、残りは水道施設や下水道施設、緑地などだ。開発は3段階で行う計画で、第1段階は15年まで、第2段階は16年~18年、第3段階は19年~20年となっている。
 同パークへの投資推奨産業は(1)医療、水産・農業向けバイオテクノロジー(2)マイクロエレクトロニクス、機械電子工学、光電子工学(3)精密機械(4)新素材、新エネルギー(5)ソフト、通信およびIT-など6分野だ。同パークに入居する企業に対して、(1)法人税は15年間10%(通常は25%)とし、その期間中、課税所得が発生してから4年間は免税、その後9年間は50%減税とする(2)ハイテクパークおよびハイテク企業・ハイテクインキュベーショントレーニング・研究地域における建設事業に対して、土地リース料を100%免除する(3)ハイテクパークにおける寮建設プロジェクトに対して、土地リース料を100%免除する-などの優遇措置がある。
 ダナンハイテクパークへの入居決定第1号は船舶港湾機器や油空圧機器などの製造・販売を手掛ける東京計器だ。実際、同パークで工場が稼働するのは、15年になるという。また、同社の関連会社も入居する方向で手続きを進めている。

開発中のダナンハイテクパーク

開発中のダナンハイテクパーク

▽米シリコンバレーのベトナム版パーク
 さらに、米シリコンバレーのベトナム版「ダナンITパーク」が、ダナン市ホアバング郡ホアリエン村に開発されることが決まり、4月6日に起工式が行われた。このプロジェクトは米国のロッキー・ライ&アソシエーツが中心となって、341ヘクタールの敷地に、2億7800万ドルを投じて10年計画で整備する計画だ。
 同パークにはIT製品の製造販売・サービス地区、研究開発地区など6つの地区を建設する。米国のシリコンバレーや台湾の新竹科学工業園区をモデルに、ハイテク分野の投資を誘致する。完成後には、海外の情報通信分野の科学者や技術者、投資家を呼び込む。また、米国、欧州、日本、インド、マレーシアなどの企業約100社を誘致して、2万5000人の雇用を目指すという。

▽日本からの直行便開設を期待
 このように、ダナン市には新たな工業団地が開発されている。ダナンハイテクパークの関係者によると、ダナン市長がハイテクパークなどをPRするため、今年8月にも日本を訪問するという。また、ダナン人民委員会のある幹部は「ベトナム航空がダナンと日本の路線を検討しており、早ければ今年11月にも直行便が就航する可能性もある」と直行便に期待を寄せている。ダナン市はハノイ市やホーチミン市に比べて人件費や地価が安い。さらに、ダナンハイテクパークの担当幹部は「ダナン市にはダナン大学など大学が多く、短期大学も13大学、高等専門学校が7校あり、人材は豊富だ」とメリットを強調。今後、ダナン市の魅力が日本企業に浸透し、日本-ダナン間に直行便が就航すれば、既存の工業団地やダナンハイテクパークなどへの日本企業の進出は増えそうだ。
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