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我が国産業の変化と若者育成への取組について | 経済産業省 経済産業政策局 参事官(産業人材政策担当) 奈須野 太【配信日:2012/11/30 No.0213-0871】

配信日:2012年11月30日

我が国産業の変化と若者育成への取組について

経済産業省 経済産業政策局
参事官(産業人材政策担当)
奈須野 太


 我が国の産業の変化、グローバル人材の必要性および経済産業省の取組みについてご紹介させていただきます。


 「技術では勝てても、ビジネスで勝てない!」近年、こんな声がよく聞こえてくる。
 実際に1995年からは国内総生産(GDP)はマイナス成長となり、IMD世界競争力ランキングも27位(1990年は1位)と低迷している。
 今日本の産業は大きな転換を迫られている。様々の理由・背景があるが、主だったところでは、「製品や技術のライフサイクルの短縮化」「顧客ニーズの多様化・複雑化」そして「ビジネスのグローバル化」が挙げられるのではないだろうか。とりわけ「ビジネスのグローバル化」については、マーケットがボーダーレスに広がっていく中、アジア等海外市場における熾烈な国際競争が展開されており、この中で我が国企業もそれに対応した新たなビジネスモデルを作り上げていくことが求められている。

 このような中、我が国企業の海外展開を支える人材の確保が急務となっている。
 新卒採用においても、日本人・外国人問わず、グローバルに活躍できる人材の重要性がますます高まっている。平成23年度に当省で実施した「グローバル人材に関する調査」によると、海外に既に進出している、もしくは新たに進出を考えている企業の8割強の企業において、日本人の若手グローバル人材が不足しているという結果であった。
 また、平成23年度に当省が実施した「大学におけるグローバル人材育成のための指標調査」によると、2017年におけるグローバル人材の需要量の推計は、411万人(2017年総常用雇用者数推計4723万人の8.7%に該当)であることに対し、2012年時点でのグローバル人材推計量は168万人(2012年総常用雇用者数推計値3946万人の4.3%に該当)であり、2012年から2017年にかけて約2.4倍のグローバル人材の需要増が見込まれている。

 人口減少と高齢化が進む中で、東日本大震災という深刻な危機を経験した我が国経済を再び成長軌道へとのせていくためには、創造的で活力のある若い世代の育成が急務である。とりわけ、グローバル化が加速する21 世紀の世界経済の中にあっては、豊かな語学力・コミュニケーション能力や異文化体験を身につけ、国際的に活躍できる「グローバル人材」を継続的に育てていくことが強く望まれているのである。

 それでは「グローバル人材」とは何か? 本年6月に策定した「グローバル人材育成戦略」によると次のように整理されている。

○要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能力
○要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
○要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
 「要素Ⅱ」以外にも、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等、「グローバル人材」に限らず、これからの社会の中核を支える人材に共通して求められる資質が挙げられている点が注目される。

 このような「グローバル人材」を育成、活用していくために、経済産業省においても、産業界、教育界と連携し、近年以下のような取組を推進している。

○産学協働人材育成円卓会議
 産学連携のための対話の場として、企業と大学のトップによる会合である「産学協働人財育成円卓会議」をサポートしている。本会議では、本年5月にグローバル競争を勝ち抜くための産学連携した人材育成についてアクションプランをまとめた。今後各企業・大学において本プランを着実に実行していくとともに、グッドプラクティスを世の中に広く発信し、普及していきたい。

○海外インターンシッププログラム
 今年度、当省の事業の中で、約100名の学生に、インド・ベトナムの日系現地企業に受け入れていただき就業体験を行っていただいた。本事業では、約3週間という短期間の期間でより高い教育効果を得るために「目標設定-実行-振り返り-共有-フィードバック」のサイクルをプログラムに組み込み、海外での業務を経験するだけでなく、「学び方を学ぶ」ことを目標とした。今後、海外インターンシッププログラムの普及に向け、効果的な海外インターンシッププログラムのひな形を検討していきたい。
 さらに、企業の若手社会人に3~6カ月間の海外インターンシップを経験させるなどの取組も進めているところである。

○アジア人財資金構想
 平成19年度より、文部科学省と共同で優秀な外国人留学生を日本へ招き入れ、産学連携の専門教育、ビジネスに特化した日本語研修、日本のビジネス文化に関する研修、そして就職活動支援やインターンシップを実施することで、日本企業の戦力となってもらえるよう「アジア人財資金構想」事業として支援してきた。約2000名の外国人留学生が卒業し、その7割近くが現在日本企業に就職し活躍してくれている。またこの取組を通じて効果的な教育プログラムや海外大学との連携体制も構築できた。今後さらに優秀な外国人財が日本企業において活躍し、「内なる国際化」にも繋がる活動を強化していきたい。

○社会人基礎力
 平成19年度から、企業や行政と連携して学生が課題解決を図る「PBL(Project Based Learning)」やゼミ・一般科目等を通じて「社会人基礎力」の育成に向けた取組を推進している。
 これまでの取組の中で、モデル大学で行われているカリキュラムとその工夫をまとめ、全国の大学への普及を図るための「リファレンスブック」(経産省社会人基礎力のHP頁を参照)や「社会人基礎力育成の手引き」を製作し、現在は大学教員等に向けた「社会人基礎力研修会」や全国約100大学が参加する「社会人基礎力グランプリ(経済産業大臣賞)」を開催し、その普及と向上に取組んでいる。
※社会人基礎力・・経済産業省が提唱する「さまざまな考え方の人達の強みを持ち寄り、自分が主体性を持って物事を前に進めていく力」
(3つの能力・・「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」)

○ダイバーシティ100選
 多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげることが、これからの日本企業が競争力を高めていくために、必要かつ有効な戦略である。このような趣旨から、様々な規模・業種の企業における「ダイバーシティ経営」への積極的な取組を「経済成長に貢献する経営力」として評価・表彰し、ベストプラクティスとして発信し、その普及をはかる。

 現在の経済環境については非常に厳しいものとの指摘もあるが、未来は決して暗いものではない。
 ボーダーレスにイノベーションを起こす新たな産業構造を築いていくためには、産学官を問わず、関わる者全員で知恵を出し、協働し、この大きな転換期を乗り越えていくことが重要である。
 産業界にかかわる人々、あるいは活躍を目指す若者には、是非、積極的に学び、そしてチャレンジしてほしい。政府としても、産業界、教育界と密に連携して、応援していく所存である。

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