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東アジアビジネス拡大に向けたオール九州(官民連携)の取り組み -アジアの活力を取り込み、経済成長のエンジンへ- | 経済産業省九州経済産業局国際部 国際部長 村上 樹人【配信日:2012/03/30 No.0205-0835】

配信日:2012年3月30日

東アジアビジネス拡大に向けたオール九州(官民連携)の取り組み
-アジアの活力を取り込み、経済成長のエンジンへ-

経済産業省九州経済産業局国際部
国際部長
村上 樹人


 九州は、成長著しいアジアとのゲートウェイ、良好な投資環境等の利点を活かし、アジアの活力を取り込み、我が国経済のエンジン役となることが期待されている。九州経済産業局と九州経済連合会は、オール九州の観点から各自治体等と戦略的な政策連携を進め、東アジアビジネス拡大に向けた官民連携した取り組みを推進している。


【友好交流型ビジネスからソリューション型企業連合体ビジネス、オール九州の取り組みへと展開】

 九州は東アジアのほぼ中心に位置し、日本の中では韓国や中国と地理的に近く、歴史的にも東アジアへのゲートウェイとして役割を担ってきたこと等を活かし、姉妹都市提携、業界団体間、大学間等の多様な友好交流を契機にビジネスチャンスを獲得してきたが、近年、九州の先進技術である環境エネルギー分野において、需要側ニーズに応えた企業連合体によるビジネスへと展開している。特に水ビジネス分野において、官民連携による「北九州市海外水ビジネス推進協議会」が一昨年3月に設立され、ベトナム、カンボジアにおいる水インフラ事業に参画し、コンサルタント契約を受注しており、今後、先進的な海水淡水化、水循環システムの技術開発及び実証運営の国際展開拠点である「ウォータープラザ北九州(NEDO実証プラント)」を活かした国際マーケティング・セールスが期待されている。
 また、昨年12月、福岡県、北九州市及び福岡市共同申請による「グリーンアジア国際戦略総合特区」が国際戦略特区に指定され、アジアのニーズが高まる環境インフラ事業のパッケージ化の展開、グリーンイノベーションを主導する産業拠点の形成等を通じ、アジアの活力を取り込み、九州地域の活性化が期待されている。2020年までに約5兆円の追加売上高(国の目標50兆円の1割)を目指している。
 このように企業連合体ビジネスが九州全域に拡がりつつある中、九州経済連合会(以下「九経連」)は、オール九州の観点から他の支援機関と連携しつつ、九州企業の小ロット食品共同輸出等の輸出促進、九州中小企業の海外進出支援機能を一層充実させ、アジアとの架け橋となるグローバル産業人材(注1)育成、活用支援を行うとともに、さらに九州企業連合体によるBOP、PPPプロジェクトを推進するため、本年7月を目処にアジアビジネスセンターを設立予定である。中長期的には、国際ビジネス事業環境の整備や外資誘致、文化交流、グローバルインフラ整備等の機能を拡充した「九州アジア国際センター」を目指している。
本年2月3日国際化推進帰国幹事会

本年2月3日国際化推進帰国幹事会

 このような状況の下、オール九州の観点から戦略的な政策連携を進める体制の構築が必要となり、九州の国際化のプラットホームである「九州経済国際化推進機構」(以下、「国際化推進機構」)(2001年設立)の幹事会(注2)を国際化に関する諸課題を議論する場として活用することとなった。今後、幹事会の提言等を九州地域戦略会議へ反映させることも検討課題となっている。
 オール九州の国際化の旗振り役である国際化推進機構の今後の重要な取り組みとして、(1)環黄海経済圏等の形成促進、(2)農産物・食品の九州ブランド化、香港等への輸出基地構想の推進、(3)グローバル産業人材の育成、活用の3つが挙げられる。

【環黄海経済圏等の形成促進】

昨年11月第11回「環黄海経済・技術交流会議」

昨年11月第11回「環黄海経済・技術交流会議」

 TPP等地域連携・統合の動きが世界的な潮流となる中、九州は歴史的交流、地理的優位性を活かし、中国、韓国の3カ国・地域を含む環黄海地域(注3)の政府機関、自治体、経済団体、大学等による幅広い経済交流を展開しており、環黄海経済交流の深化に努めている。
 「環黄海経済・技術交流会議」は九州、中国、韓国の持ち回りで2001年以降毎年開催されており、昨年11月、韓国大田市にて第11回会議が開催され、サービス産業の生産性向上、クラスター交流の促進等が議論された。また、「九州・韓国経済交流会議」(第18回)も同時開催され、機能性食品分野の協力等が提案された。
 また、環黄海経済圏以外のアセアンとの経済交流も推進している。九経連が実施した会員企業アンケート調査によると、環黄海経済圏以外で今後の海外展開先として注目されているのはベトナム、タイ、インドネシアといったアセアン及び市場が大きく、経済成長が顕著であるインドである。国際化推進機構は2009年2月、ベトナム計画投資省との間で経済交流に係るMOUを締結し、九州企業の海外投資環境整備を行ったところであるが、今後、タイ、インドネシア、中期的にはインドとのMOU締結が検討されており、華南・インドシナ経済圏における九州企業の海外投資環境整備を一層推進することが期待されている。

【農産物・食品の九州ブランド化、香港等向け輸出基地構想の推進】
 九州の農産物、食品輸出の主要輸出先は香港、台湾、シンガポール等である。特に香港は九州地域の農林水産資源に高い関心を示し、オール九州としての窓口一本化等を要望していることから、香港のニーズに応える仕組みを構築することが早急な課題となっている。本年3月「九州農業成長産業化連携協議会」が設立予定であり、同協議会がプラットホームとなって、オール九州でのブランド化や輸出体制の構築等の推進力となることが期待されている。国際化推進機構は同協議会と連携しつつ、主要輸出先である香港、台湾等における食品展示会へオール九州で出展し、販路拡大に取り組むこととしている。

【アジアとの架け橋となるグローバル産業人材の育成、活用】

昨年11月28日九州グローバル産業人材協議会設立総会

昨年11月28日九州グローバル産業人材協議会設立総会

 成長著しいアジアの活力を取り込み、アジアと共成するためには、アジア諸国等の優秀な人材を将来我が国と海外との架け橋となるグローバル産業人材として育成、活用することが重要である。このため、昨年11月に産学官連携したプラットフォームとして「九州グローバル産業人材協議会(九州コンソーシアム)」を創設し、インターンシップを実施するとともに、企業経営者が語る会、企業と留学生の交流フェア等の実施を通じ、就職支援を行うこととしている。

 先日発表された九州経済白書は、九州の製造業は円高等の六重苦に晒されているが、自動車等の研究開発生産拠点の集積が進んでおり、成長著しいアジアとのゲートウェイ、良好な投資環境(人件費や物価の安さ)等の利点を活かし、アジアの活力を十分取り込める可能性があり、九州が我が国経済のエンジンになることが求められていると指摘している。官民連携したオール九州の取り組みが九州発“元気”モデルとして、他地域へ展開されることを期待している。

(注1)グローバル産業人材とは、日本語に堪能な外国人留学生、外国語に堪能で外国事情に詳しい日本人学生等、企業が海外ビジネスを展開する際に活躍できる人材
(注2)メンバーは各県、政令指定都市の商工担当等部長級、経済団体、九州運輸局及び当局等
(注3)環黄海地域は、中国大連から上海、韓国仁川から釜山に至る黄海沿岸及び九州を取り巻く地域であり、人口は世界の約6%を占め、GDPはアセアンを大きく上回る世界シェア5%。

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