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連載 中小企業の海外進出 第2回 「海外進出の第一歩:進出国と工場建設場所の選定」 | ベトナム経済研究所 研究理事 星野 達哉【配信日:2011/5/27 No.0195-0797】

配信日:2011年5月27日

連載 中小企業の海外進出 第2回
「海外進出の第一歩:進出国と工場建設場所の選定」

ベトナム経済研究所
研究理事
星野 達哉


 進出先国の選定に関して、今後3年位の中期的観点では、中国、インド、ベトナムが有望である。中国とインドに比して、ベトナムが有望である理由は、或るアンケート調査によれば、
(i)安定した政治・社会 (ii)市場規模・成長性(iii)廉価で豊富な人材である。注目すべきは、廉価な労働力より、政治・社会の安定や将来の市場性が上位である点である。
 中国での事業展開で経営リスクが顕在化し、中国一極集中のリスクを分散する為、インド、ベトナムなどが注目されている。
 工場建設場所として、多くの企業は工業団地を選定する。工業団地の選定に当っては、希望するspaceの確保や基本的インフラ設備のチェックが肝要である。
 リース工場希望の場合は、希望条件に合うリース工場を探すのに努力が必要。
 国のバックアップが大きい経済特区にも注目したい。


1.海外進出の目的
(1)中小企業(以後SMEと略す)が海外に進出する理由は下記である。
 (i)取引先(主に大企業やAssembleメーカー)の海外進出に伴って、取引先より取引継続のため同地区への進出を依頼された為。
 (ii)競争力を高めるため、人件費などのコスト削減を図る為。
 (iii)日本国内では優秀な人材・技術者・労働者が集まらないので、勤勉で豊富な労働力ある国で製造する為。
 (iv)自己リスクで海外進出し、販路拡大する為。
 (v)会社の閉塞状態を打破し、生存・発展を図る為。
(2)現在は大きな落込みもなく経営出来ているSMEでも、将来を見据えて、日本国内で生産続ける製品と海外に進出して一部製品を海外で生産する製品とに分けて二面作戦をとるケースもある。 日本国内ではコストが見合わない低付加価値品、量産品、標準品の生産や単純な組立工程の生産は、人件費がより廉価な東アジアの国に生産拠点を移す。日本国内では、高付加価値品、加工難度の高いもの、流行の変化が激しいもの、短納期品、新製品・試作品などを中心に生産する等がポイントである。

2.進出先の選定
(1)進出する国を決めるには、多くのSMEは、下記の要素を検討する。
 (a)競争力ある廉価な労働力が豊富にあるか。
 (b) 優秀で勤勉な人材が確保できるか。
 (c) 最低限必要なインフラ(電気、給排水、アクセス道路)はあるか。
 (d) 市場の将来性は大きいか。
 (e) 政治・社会は安定しているか。 国は外資に対し優遇策をとっているか。
(2)海外事業展開について、今後3年位の中期的観点での有望国は、中国、インド、ベトナムである(2009年JBIC海外投資アンケート)。中国とインドに比して、ベトナムが有望である理由としては下記が挙げられている(複数理由の回答もあるので合計は100%以上に);
 (i)安定した政治・社会(65%)
 (ii)市場規模・成長性(48%)
 (iii)廉価で豊富な人材(38%)

注目すべきは、廉価な労働力より、政治・社会の安定や将来の市場性が上位である点である。
(3)中国での事業展開で経営リスクが顕在化し、その為に中国一極集中のリスクを分散する為、インド、ベトナムなどが特に注目されている。

3.工場建設場所の選定
(1)多くの場合、インフラが比較的整っている工業団地が、工場建設場所に選ばれる。インフラの中で、特に問題になるのは、電力供給体制と排水設備である。 工業団地の選定に際して、次の点がポイントとなる。
 (i)-1希望する広さの土地の使用権が確保できるか。SMEによっては1,000m2位を希望する企業もあり、一方、工業団地側は最少面積5,000m2を条件とするところが多い。
 (i)-2広い工場を必要としないSMEの中には、自分で工場を建設しないで、リース工場に入居希望するSMEもある。この場合、リース工場のレンタル面積は500~1,000m2が多い。リース代は、例えば現在べトナムでは、4.5US$/m2/月位。リース希望者は多く、自社に適したリース工場を探すのは容易でない。
 (ii)電気、給排水など基本的インフラ設備はどうなっているか。地場の工業団地によっては、使用される土地の区割りは図面上決めて、入居希望者に提示出来るが、インフラ設備は、入居者が決定し前金(10~30%)が支払われてから着工するところも多い。
 (iii)電力供給体制はどうなっているか。工業団地への送電ラインや工業団地に設置される補助電源の容量、停電に対する工業団地の対策など。最近電力不足等で操業中の停電が深刻な問題になっているところがある。
 (iv) 工業団地備付の排水設備の内容はどうなっているか。排水の問題について、国は欧米並みの厳しい条件を付けている。工業団地から外部に流れる排水は、この基準を守らなくてはならない。一方、工業団地内の各企業は、まず工業団地内の排水設備に排水する。工業団地の排水設備でどの程度浄水できるかである。それによって、各企業自身が各工場内に設置する排水設備の内容が決まる。この設備の仕様はコストに影響を与える。
 (v)工場へのアクセス道路はどうなっているか。空港や港への道路事情や輸送業者はどうなっているか。

(2)近年ASEANへの外資の進出が活発化していることもあり、工業団地の土地使用権価格が上昇している。例えば現在ベトナムでは、場所にもよるが、日系企業が入居するところで、大体70~85 US$/m2/45years。5年前は30~40 US$/m2/45yearsであった。土地使用権価格の上昇傾向は、タイ、インドネシア、カンボジアなどでも同様である。
(3)経済特区(SEZと略称)に注目したい。通常の工業団地と異なり、SEZは国のバックアップもあり、進出に対して優遇条件が受けられるとか、SEZ内で通関手続きが出来るとか、銀行があるとか、地方政府の事務所があってそこで投資申請できるとか等、便宜の提供・サービスが備わっている。インフラはそれなりに完備している。国内インフラが他に比べ劣っているところ、カンボジア、ラオス、ミヤンマー、ベトナム(地方省)などで、そこでのSEZは検討に値する。詳細について上記(1)の点を調べることは肝要である。

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