事業紹介

ビジネスと人権問題を考える研究会
終了済

 (2022年7月~、2022年3月に「中小企業のための人権デユー・ディリジェンスガイドライン」を取り纏め)

1. 国際社会では2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」に沿った活動が求められ、企業も同様に様々な対応を求められる状況となった。日本政府は、2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)を策定し、SDGsの実現と人権の保護・促進は、相互に補強し合い表裏一体の関係にあるとし、人権は、SDGs各ゴール実現の共通課題となった。

2. 人権を保護する義務は政府にあるが、児童労働や強制労働などを中心に、企業の責任も問われるようになり、企業活動に伴う地域の生活環境や地球環境の悪化などが基本的人権の侵害に問われるなど、保護すべき人権の範囲が拡大され、企業自身が問題を自ら把握し、対応することが必要となった。
2011年に国連で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」では、国の人権保護の義務に加えて、人権を尊重する企業の責任を具体的に規定し、人権を尊重する経営を行うための手段として「人権デユー・ディリジェンスの実施」を求めており、これが企業の対応方針として国際標準となった。多くの欧米企業は既に指導原則の下に人権デユー・ディリジェンスを実施し、自社のサプライチェーン上の人権課題の対処・予防にコミットしており、こうした企業の姿勢が金融機関や投資家の判断にも大きく影響するようになっている。

3. こうした世界の潮流は日本企業にも大きなうなりとなって迫っているが、日本の中小企業からは「どのように取り組んだらよいのか分からない」と言った声が多く聞かれ、手探りの状況であることが明らかとなった(2022年11月政府の企業アンケート調査結果)。人権デユー・ディリジェンスは、企業価値の向上や企業の競争力、ひいては市場や消費者の信頼を左右しかねないものであることから、日本の中小企業にとっても極めて重要であるとの認識の下、当センターでは、「人権問題とは何か」、「具体的に何をすれば良いのか」といった中小企業の方々の疑問に答えることを主たる目的として、2022年7月に研究会を立ち上げ、2023年3月にガイドラインとして取り纏めを行った。

「中小企業のための人権デュー・ディリジェンス・ガイドライン
~持続可能な社会を実現するために~」