インドのデジタル規制の状況

インドのデジタル規制の状況
掲載日:2020年3月

1. 国の概況

▶ 中国に次いで人口世界第2位の大国。労働者人口も多い。
▶ 2019年総選挙でインド人民党(BJP)が勝利し、モディ首相の第2次政権が発足。
▶ インド政府はこれまで世界有数のIT先進国を標榜し、IT産業を発展すると同時に育成したIT人材を世界へ排出してきた。今後はAI、機械学習等の先端技術の開発に力点を置くなど、デジタル化に積極的。

インドの概況

2. デジタル法制の状況

▶ モディ政権による「デジタル・インディア計画(2014年~)」の下、従前のIT産業のさらなる発展と共に様々な分野におけるデジタル化を推進。
▶ 通信サービス市場が成長を続けており、携帯電話サービス加入者数が2019年4月時点で11億6,200万人を超え、インターネット加入者数は6億3,700万人超1
▶ 足もとでは高額紙幣の廃止に伴う現金決済のデジタル化のほか、生体認証付き個人識別番号:アドハー(Aadhaar)の普及が進む(2020年2月末時点で12.3億人が登録)。

【国家戦略・計画】
インド、デジタル法制の状況、【国家戦略・計画】
1Telecom Regulatory Authority of India “Annual Report 2018-2019”
2デジタル通信政策
3ソフトウェア製品政策
4デジタル・インディア

【デジタル関連法令】
▶ GDPRをベースに策定された包括的な個人情報保護法案(PDPB)が2020年内の成立に向けて国会で審議中である。現状は、コンピュータ上で保管されている情報は情報技術法により、その他金融、電子通信、医療など個別分野は業法が個人情報保護について規定している。
▶ 2018年のインド準備銀行(RBI)通達では、全ての決済データの国内保管義務が課された。また、通信事業者に対する免許付与に際してログデータの国内管理義務の規制が、政府出資により収集されたデータに関する取扱い・管理についてもローカライゼーションを前提とした法体系が構築されている。
インド、デジタル法制の状況、【デジタル関連法令】
5情報技術法
6Information Technology (Reasonable security practices and procedures and sensitive personal data or information) Rules, 2011
72018年7月にBN Srikrishna判事委員会により、個人情報保護法案が発表された。諸外国、民間企業からのパブリックコメントを受けた「2019年個人情報保護法案」が、現在国会審議中である。2020年モンスーン国会(7~9月)で成立する可能性がある。

3. デジタル化の状況

【インターネットの利用度】
▶ インターネット普及率は42.1%と低い水準に留まっている。今後は農村部を中心に普及率のさらなる向上が期待される。
▶ インターネット人口1人あたりのEC利用金額は6,820円8/年である。
▶ 都市部ではオンラインサービスの利用率が7割に上るとの調査結果9もあり、都市部のEC化率は地方部と比べ非常に高い。地方部においても物流インフラの改善や電子決済の普及に伴い、今後EC利用率の向上が予測される。
▶ Facebookユーザー数は世界最多であるが、インターネット人口に対するユーザー数では東南アジア諸国と比べ低い。

デジタル化の状況、【インターネットの利用度】
8レポート内の為替レートは年間平均為替TTB(2018年)より1ドル=110円を適用
9日本貿易振興機構 「インドEC市場調査報告書」(2019年6月)

【EC市場規模】
▶ 小売市場の規模は2019年に1兆2,000億米ドルを超え、規模としては日本と同程度。豊富な人口ボーナスや増加傾向にある中所得者層の増加に支えられ、小売市場も引き続き高い成長を続ける見込み。ただし、小売店舗の9割以上はキラナと呼ばれる伝統的な家族経営の零細店舗(インド国内で1,200万店以上存在するといわれている10)であるため、デジタル化の浸透や近代化が今後の発展のカギといわれる。
▶ 一方、スマートフォンの普及、決済システムの整備が進む中、インドのEC市場は今後も発展することが推測される。2023年には2019年比2倍超の規模(1,150億米ドル)に拡大見込み。
▶ 2019年のEC化率(物販全体の市場規模に占めるEC市場規模の比率)は3.6%。日本(8%)、米国(10%)と比較するとまだ発展の余地あり。

デジタル化の状況、【EC市場規模】
10日本貿易振興機構 「インドEC市場調査報告書」(2019年6月)

【デジタル産業】
▶ IT-BPM(ビジネスプロセスマネジメント)産業はインドの主要輸出産業である。NASSCOMによれば、2018年の売上は1,670億ドルであり、内75%の1,260億米ドルが輸出であった11。依然として、IT-BPM産業がインドのIT産業の中で重要な位置づけであるものの、TCS、Infosys、WiproといったインドのIT大手は、AI、IoT、ディープラーニング等に投資を振り向け、ビジネスモデルの転換を図りつつある。
▶ インドのユニコーン企業は20社とされ、数では米中英に次ぎ世界第4位。企業価値評価額が最大のOne97 Communicationsはデジタル決済サービスPaytmを展開。
▶ スタートアップが多い背景としては、インド工科大学など理工系大学からIT人材が豊富に供給されている。ベンチャーキャピタルに加え、Wipro、Infosysなどの創業者らがエンジェル投資家として、スタートアップに対し支援を行っている。さらに、地場、外資、業界団体はハッカソン等のアイデアコンテストを頻繁に開催するなど、スタートアップ・エコシステムが形成されているためである。

デジタル化の状況【デジタル産業】 link ⇖ : CB Insights
11NASSCOM “Industry Performance: 2018-19”