平成22年度 第2回-2 国際情勢研究会
報告2「オバマ政権の内政・外交の評価」
東京大学大学院 法学政治学研究科 教授
久保 文明

外交については前政権との断絶と書いたが、あまり成果はでていない。目に見える成果は、ロシアとの核削減合意であろう。アプローチとして、ブッシュ政権との違いを出したがっていた。それは低姿勢であったり多文化主義的なアピールであったり、北朝鮮やイランとも対話をするという形であったりした。これは素人という面もあるし、オバマの支持基盤に対する配慮の面もあると思う。いきなりイラン制裁となるとそれは前政権と同じではないかという反発がある。ソフトなほうから始めて、少しずつ強硬となれば、世論や国際社会もついてくるだろう。問題は、ソフトからいかに少しずつ強硬なほうに転換させるかということだ。比較的低姿勢と交渉に徹して成果をあげたのは対ロ関係だと思う。
北朝鮮政策は、結果的にブッシュ政権の第2期よりオバマのアメリカのほうが硬いのではないか。イランに対してはつい最近、国連の安保理決議で制裁決議を獲得するのに成功し、ブッシュ政権よりかなり進んだところまで来ていると思う。最初、柔らかいほうから始まったと思われたオバマ外交であるが、2年目になって強硬な部分がかなりでてきているという気がする。
(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:国際経済連携推進センター)

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